イントロ
以前、フォークとカントリーの違いについて記事にしました!↓
今回は特にアメリカにおけるフォークについて、さらに深堀りしていきたいと思います!
✅フォークって結局なんなん?
✅アコギの曲大好き
こんなみなさんにおすすめの記事となっています◎
よく聞くけどいまいち実体のつかみづらいフォークミュージック。
そんなあいまいなフォーク像とは今日でおさらばです!
もくじ
え、民謡?
”folk”というのはもともと、民謡や、その地域に昔から伝わる音楽のことを指す言葉です。つまりフォークミュージックとは、民謡。
🐰<「ふるさと」もフォークってか?
もともとの意味からすると「ふるさと」のような民謡や民俗音楽こそがフォークですが、現在「フォーク」と聞いて思い浮かぶ音楽は、こういうのではないですよね。
ではいかにしてフォークは現代のフォークとなったのか。
そこには歴史と政治が大きく関係しています。
さすらいのウディ
1920年代、不況のアメリカにはホーボーと呼ばれる日雇い労働者たちがいました。
彼らは貨物列車にもぐりこみ、収穫作業など、季節ごとに発生する労働を求め全米を放浪していました。
彼らと共に放浪し、各地に伝わるメロディに歌詞をのせ、1000以上の曲を残した伝説のミュージシャンがいます。ウディ・ガスリーです。
1930年代になると、国は自国のアイデンティティを確立するために、全米の民謡を集めるようになりました。これによってウディの楽曲は広く知れ渡るところとなり、次世代のフォークミュージシャンたちの間に、多く種をまくこととなりました。
ウディに影響を受けたミュージシャンには後にレジェンドとなるような大物ミュージシャンもたくさんいました。ボブ・ディラン、ピート・シーガー、ブルース・スプリングスティーンなどがその中の1人です。
もうこれだけで、彼がのちの音楽シーンにどれだけの影響を与えたかがわかります・・・。
カントリーとの別れ
第二次世界大戦後、冷戦がはじまります。
共産主義をなんとしても断罪したいアメリカ議会で、フォークソングは共産主義と結びついているとして、激しく攻撃されました。
政府に批判された「フォーク」という名称を使い続けるわけにはいかないメディアは、それまで「フォーク」と呼んでいたものを「カントリー」と呼ぶことにしました。
こうして、それまで同じところを目指していたカントリーとフォークは、今あるアメリカを支持する楽観的なカントリー、そして現状を悲観し、大勢への反抗と変革を求めるフォークとして、たもとを分かつこととなりました。
👸<それまでのフォークとカントリーの違いは?
どちらも土着の曲をバンジョーやアコギといった楽器を使って奏でる音楽ですが、カントリーはアイリッシュやケルト音楽の影響が、フォークはブルースの影響が強いのかなと感じました(※あくまで考察です)。
最盛期!
こうして政治利用され、すっかり民衆のもとを離れてしまったフォーク。
しかしもともとフォークとは、不況にあえぐ人々がふるさとのメロディに自分たちの生活を歌詞としてのせて歌った、自分たちに最も近い音楽であったはずです。
「フォークを人々のもとへ取り戻そう!」
1950年代、フォークのレジェンドであるウディ・ガスリーやピート・シーガーの存在によって、こうした大きなムーブメントが興ります。
これがフォーク・リバイバル。フォークの最盛期です。
このムーブメントはボブ・ディランがアコギをエレキに持ち替えた1965年まで続きました。他の影響も少なからずあるだろうとは言え、この人1人がエレキを持つだけでムーブメントが収束するってボブ・ディラン強すぎるだろ、と感じますが仕方ありません、ボブ・ディランは強すぎるのです。
ちなみにボブ・ディランについてはこちらでもまとめています。
反戦の表現として
第二次世界大戦を経てアメリカン・ドリームを謳歌したアメリカでしたが、その後の冷戦やベトナム戦争、ケネディ大統領の暗殺など、暗いニュースが社会に大きく影を落とします。
社会に不安を感じた若者たちは、感情をフォークソングに託しました。自らの想いをのせた、オリジナルのフォークソングがたくさん作られるようになったのです。
こうしてフォークは反戦・社会や政治への批判を表すツールとなっていったのです。
平和を希求し、大きな圧力に反抗する。
・・・ん?これってアレに似ていませんか?
>>ネクストコナンズヒンツ! エレキ!!<<
ロックと出会って
1965年、フォークの伝統的なフェスにエレキギターを抱えて登場したボブ・ディラン。
フォークファンは痛烈にその姿を批判しましたが、結果的には、この出来事がフォーク衰退の大きなきっかけとなってしまいました。
この前年である1964年、とあるロックバンドがアメリカを訪れたのです。
そう、ビートルズです。
彼らの上陸は、アメリカのミュージシャンたちに大きな影響を与え、ボブ・ディランも当時衝撃を受けたミュージシャンの1人だったのです。
当時のフォークの理論は、反戦・反近代・反商業。これに対しビートルズはゴリゴリの商業音楽であり、エレキというテクノロジーを駆使した音楽でした。まさに仇。
しかしボブ・ディランも決してフォークの心を捨て去ってロックに転向したわけでなく、むしろ商業音楽という広く人に知られる舞台から売り上げ至上主義のような世の中を糾弾しよう、という考えがあったのではないか・・・という見方もあります。
実際、こうしてエレキギターを持ち始めたフォークミュージシャンたちが始めたロックは、内省を研ぎ澄まし、たとえ弱者であっても、大きな圧力に対して反抗を続けようという理念を持っていました。
近代という面では相反する両者ですが、「反抗する」という基本姿勢は同じなんですよね。
こうして純粋なフォークはロックにとって代わられ衰退していきますが、フォークの心を残したフォーク・ロックというジャンルが生まれます。
また、フォーク・リバイバルがもたらした影響は全世界にわたり、以降各国でフォークの名手が生まれるきっかけとなります。
ですので、衰退したというより、ロックの素、各国独自の音楽の素となったことで、その心は現在まで生き永らえることとなった・・・というのが正しいかな、と個人的には思います。
日本の音楽界にも大きな大きな影響をもたらしたはずですから、今度は日本におけるフォークの影響も探ってみるつもりです。
おすすめの曲5選
さて、ここからはフォークおすすめの曲を5つ選んでご紹介します!
1.風に吹かれて/ボブ・ディラン
フォークソングの代表曲と言っても過言ではありません。
アコースティックとハーモニカの素朴さ、そして果てのない哀しみの漂う歌詞。
決して暗い曲調ではないのに、木枯らしに吹きさらされているような、冷たくて痛い気持ちにさせられます。
2.This Land Is Your Land/ウディ・ガスリー
フォークの祖であるウディ・ガスリーのこの曲も外せません。
”This land was made for you and me”
(この国は君と僕のために作られたんだ)
一見国家を礼賛しているかのようなこの曲には別バージョンも存在し、そちらでは以下のような歌詞が続くそうです。
”As they stood there hungry, I stood there asking,
Is this land made for you and me?”(みんなが貧困にあえいで空腹に立ち尽くすように、
僕もその場に立ち尽くして考えた
この国は本当に君と僕のために作られたのかな?)
歌詞引用元:"This Land Is Your Land" by Woody Guthrie
人々が社会不安に陥るような国の現在の在り方に疑問を投げかけるような内容です。
国だけでなく世界の問題として、60年以上経った現在でも、私達の心に問いかけてくる名曲です。
3.パフ/ピーター、ポールアンドマリー
これは聞いたことがある方もたくさんいるのでは?
この曲も実はフォークソングなのです!
少年ジャッキー・ペーパーとドラゴンとの交流を描く曲なのですが、不死のドラゴンと違う少年はとある日を境にドラゴンのもとへやってこなくなってしまいます。
そうしてどんどん弱っていくドラゴン。元々住んでいた暗い洞窟に引っ込んでしまいましたとさ。辛すぎるだろ。
でもこの悲しさもまたフォークらしいですよね・・・TT
4.孤独の旅路/ニール・ヤング
これはディランと共にフォーク・ロックというジャンルを反映させたカナダ出身のレジェンド、ニール・ヤングの楽曲です。
これ超・・・超カッコイイですよね・・・渋い・・・。
”Heart of gold”を探し続ける長い旅路を歌った曲です。寂しくも誇り高い・・・。
5.明日に架ける橋/サイモンアンドガーファンクル
サイモンアンドガーファンクルもフォークを代表するミュージシャンです!
フォーク・ロックよりも、本来の「民謡」に近い楽曲や、コーラスなどで美しいハーモニーを作り上げるモダン・フォークの楽曲が多いアーティストです。
「明日に架ける橋」は彼らの最大のヒット曲。
”Like a bridge over troubled water
I will lay me down”
(波乱の川にかかる橋のように
君が辛い今を乗り越えるための橋に
僕もなってみせよう)
辛い時に聞いたらくちゃくちゃになってしまいそうな良い曲です・・・。
アウトロ
いかがでしたでしょうか!
ジャンルを深く掘り下げるたびに思いますが、音楽の形成には歴史的背景が大きく関係しているものですね・・・。
フォークを愛したミュージシャンたちの平等と平和を求めて戦う姿勢を、現代のわれわれも見習わなければならないな、と感じました。
また、今回はアメリカにおけるフォークをまとめましたが、日本におけるフォーク史はまた少し違う性格を持っている気がするので、今度はそちらを調べてみたいと思います!
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
次の素晴らしい音楽でお会いしましょう◎
Have a nice music!
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【参考ページ】
およげ!対訳くん: This Land Is Your Land ウディ・ガスリー (Woodie Guthrie)