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【ボカロ】『ヒガン』が名曲すぎて曲分析がはかどる【歌詞考察も】

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イントロ

エンドレスリピートの止まらない、

趣味にぐっさり刺さる曲ってありますよね?!

そいつに出会ってしまいました・・・。

 

今回はその曲、johnさんの『ヒガン』というボカロの曲の分析をします!

✅ボカロ大好き

✅ミクちゃん大好き

こんな方はもちろんのこと、

✅ボカロの良さわからん

✅聞いたこともないかも・・・

Adoさんや米津さんなら好き

という方にもぜひ読んでいただきたいっ!

 

※今回は個人的趣味全開でお届けします。

 

 

どんな曲なの?

www.youtube.com

ボカロPのjohnさんが2022年8月にリリースした作品です。

もうこれは聞いてもらうしかない・・・。

 

ここが最高ポイント

闇文学歌詞

ラララ
両手を重ね合ったって 何も無いよ
まるで死んだ真夏の廃魚
しかし美しいだろう
君にゃ分からないだろう

引用元:ヒガン / 初音ミク - YouTube

狡猾で軽薄な主人公が「光」のようにまぶしい「君」に焦がれ、その真意を隠しながらそばにいようとするけれど、相手にもされない自分を自嘲し、絶望する・・・という内容の歌詞です。

 

重暗い・・・

 

しかしこの重暗さがボカロ楽曲の良さだなと感じます。

誰かに焦がれる、嫉妬する、うらやんで自己嫌悪する・・・という感情、誰しも一度は経験があるはず。

そういったマイナスの感情って、共有するにははばかられますよね。だけどこうして楽曲として表現されていれば、それを聞くことによって、マイナスな感情も昇華される。

 

しかもこの曲は、そのマイナスな感情をこんなに詩的な表現に落とし込んでいる。

死んだ真夏の廃魚」というのは「腐敗してどんどん悪化する状況」のことで、「どうせ破滅を待つだけなのに、そうとわからず『何も無い』ことに意味を見出そうとする。その愚かさ=無垢さって美しいよね」という意味合いなのかなと感じました。

しかし『両手を重ね合う』ことに明るい展望を見出せる、もしくは意味のないことをばっさりと切り捨ててしまえる健康な思考を持った『君』には分からないよね、という・・・。

 

本当は愛されたい、手を重ねて明るい未来を望みたいけれど、その未来をどうしても信じることのできない主人公による強がり、皮肉。

それをこんなに見事な比喩に落とし込むのが見事です・・・!

 

を、中和する軽快リズム

こんなに歌詞がひねくれていて重苦しいと聞いていてしんどくなってしまいそうですが、軽快なリズムがそれを中和しています。

 

裏拍で楽しそうなクラップ、シンコペーションで踊るギター・ベースフレーズ・・・。テンポも180とノリノリです。

 

マイナーコードが多い中、このリズムたちのおかげでものすごく軽妙に聞こえる神秘。ラテンの陽気ささえ感じます。

 

メロもものすごく良いのですが、この心地よいリズムが中毒性の大部分を担っているのでは・・・と感じます。リズムの重要性を改めて強く感じました。こんなに内容ツライのに、聞いているとめちゃくちゃ楽しい。

 

またこの軽快リズムに乗る歌も、タ行を「ツァ」など子音を強調する独特な歌唱法を取ることで、リズミカルに拍車をかけています。

この表現力、プロのシンガーさんがやるやつです・・・。感動した。

 

全音転調

ラスサビ前に転調が入ります。

それ自体はオーソドックスな手法ですが、転調先が全音上!

 

転調先って半音先であることも多いので、この全音転調は『ずいぶん上がったな!』と印象的でした。半音上は難しいのかな?と検証しましたが、共通のコードを使えば自然な転調もじゅうぶん可能そうでした。

 

A#→B→Cと順繰りに上がっていくフレーズを経てからの転調、という演出を大事にしたのか、それとも全音上のキーにすることによってラスサビ事態を印象付けようとしたのか、はたまた別の意図があるのかはわかりませんが、フレーズのおかげでラスサビへの高揚感も作り出していますし、キーが上がることによってラスサビの緊迫感・切迫した必死なイメージが増しています。

細かいところまで最高。

 

その他曲分析

足し引きのバランス

完全4度上への強進行、そこに51を足した「1451進行」など定番のコード進行がメインです。

コードが鳴る位置も小節の最初であったり、コードの進み自体は意外にもシンプルだなと感じました。

 

しかし全体として聞くととてもトリッキーな曲調に聞こえます。それはきっとギター2台の独特なフレーズやリズム、そしてシンセの音の場違いなポップさがそう聞かせるのだと思いますが、なるほど、曲に遊びを入れるのであれば、別の部分はシンプルな作りにする、という足し引きのバランスも大切なのですね。

 

また、AmでなくA#mのキーであるのも「王道のAm、からわずか外れたA#m=王道からわずかに、でも確実に外れてしまった主人公」という、曲に沿った意図を感じて最高です。(考えすぎ濃厚ですが・・・)

 

言い訳のA・Bメロ

メロディ単体で見ると、AメロBメロは小刻みに言葉を踏んでいるのに対し、サビでは伸びや跳躍を用いて、一区切りが長めに取られていることが気になりました。

 

このA・Bの刻みが、一番声に出したい強がりや皮肉のための言い訳・・・というふうに聞こえて、つくづくすごい表現力だなぁ・・・と思わされます。

 

それからラスサビの「嘘を互いに教え合ったって つまらな」の「(つまらな)い」の音がちょっと高い気がしました。こう降りてくるだろうな、と想定した「い(F)」より不自然に高いな(G)、という。

それによってラスサビを「こうだろうという自然なイメージを裏切って、忘れられないものにする」ような、曲に沿ったひねくれた作りになっているのかな、と考えました。

これも考えすぎ濃厚です。笑

 

最後に言わせてくれ

ラスサビの歌詞の言い回しが最高にすきです;;;;;

ひとつ見つけた幸福が
全て救うはずだし

たった「ひとつ」の「幸福」に「全て」への「救い」を求めてすがってしまうという不健康さがこのちょっとしたフレーズにつめこまれている・・・。

 

限られた字数で感情やニュアンスを伝えるのがホンット~に上手です!

 

アウトロ:好きこそ正義

最近たまたまこの『ヒガン』という曲に出会って、夢中になってしまいました。

好きになると曲分析も楽しくて楽しくて、曲中の新しいトリックに気付く度に、さらに好きになってしまうというマジック。

 

また分析していく中で『この辺の音楽理論がおざなりになっているな・・・』など弱点も判明し、音楽理論に対するモチベーションも上がりました!

 

記事を書く中でも『ボカロ全般の歴史や近年ポップスに与えた影響もまとめたい・・・』などブログで新たに取り上げたいこともでき、この曲に出会って、良いことしかありません

 

まさに好きこそ正義。

 

 

今回は完全に個人的趣味を展開した記事になってしまいました!

少しでも楽しんでいただけていたらうれしいです◎

今後ボカロのまとめもしてみたいと思います!

 

読んでくださって、ありがとうございました。
それでは次回のすばらしい音楽でお会いしましょう♪
Have a nice music!

 

 

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