イントロ
※今回の記事には個人的な解釈や意見も含まれます。
ご参考程度にご覧ください。
このブログでは何度か音楽理論についてお話してきました。
でもよく考えたら・・・
「音楽理論って、結局なに?」
「何から勉強したらいいの?」
「しなきゃダメ?」
など、そもそも音楽理論の存在自体がよくわからんみたいなところがあるような気がしてきました。
自分が何のために、何を学ぶべきか。そもそも学ぶべきなのか?と迷っているみなさんに、今日はオリエンテーションを開催します!
記事を読むだけでご参加いただけますので、お茶など飲みながら、ごゆるりとご参加ください。
音楽理論とは
人類秘伝のレシピ
まず、『音楽理論』という得体の知れないコイツについて少し解説します。
音楽理論とは読んで字のごとく「音楽の理論」。
音楽、というもの―楽曲の作り方、表現、音の重ね合わせ方はもちろん、音が響く仕組み、心地よいとされるパターンまで、理屈で説明してみようね、というものです。
ものすごく簡単に例えるなら、秘伝のレシピのようなものです。
レシピには「カレーを作るには、野菜を炒めて水を入れてルーを入れるといいよ~」というカレーを作る手順や、「肉じゃがに味をしみこませたい時は、落し蓋をするといいよ~」といったテクニックの解説が含まれます。
家の残り物だけで料理を作ろうとして、なんとなくのフィーリングでおいしくできることもあると思います。それはそれで最高。
ただ、もしこれをもう一度食べたくても、やり方を忘れてしまっては再現することができません。
また、フィーリングで料理をするにしても、「みりんと醤油の組み合わせは間違いない」などわかっていれば、大きく失敗することもありません。
いつでもサッと良い音楽を生み出せたら最高だよな!
という考えのもと、数えきれない年数、数えきれない人間の知識を結集させた人類秘伝のレシピ。それが音楽理論です。
必要ですか?
音楽理論が必要かどうか。
これは難しい問題ですが、結論から言えば人によると思います。
プロのバンドマンでも楽譜が読めない、理論を知らないという方もいますし、理論がわからずともDTMで曲を作っている人もいます。
では、自分に理論が必要かどうか、その判断方法をちょっとのせてみたいと思います。
スタートでは学ばなくても〇
これまであまり音楽にはふれてこなかったけど
- ギターをはじめたい
- バンドをやりたい
- クラシック鑑賞をしてみたい
- DTMで曲を作ってみたい
こういった入り口にいる場合は、音楽理論のことは一旦置いておいていいと思います。
なぜなら、理論を知らなくても音楽はできるから。
まずは実際に楽器を弾く、音楽を聞く、DTMにふれてみる。そうした中で良い音を奏でたり、良い音と気付く瞬間があったなら、あなたも今日から立派な音楽家です。
入り口に立ったなら、まずはやってみたい音楽をめいっぱい楽しむのがおすすめです。
超感覚派は学ばなくても〇
音楽理論は、音楽が生まれた当初から存在したわけではありません。最初は誰もが経験と感覚で音楽を奏でていました。
そうして経験と感覚でつかんだものを、誰にでもわかるように、何度も再現できるように言葉で説明したものが理論です。
ですので、時間をたくさん使えて、感覚が鋭く、言葉で説明できずとも、なんとなく「このジャラ~ンの後にこのジャジャ~ンが来ると最高」のように把握できている場合は、理論は必要ないでしょう。実際に理論を知らないプロのバンドマンやミュージシャンもいるくらいです。
まずはできるところまでフィーリングでやってみて、その後理論を学ぶかどうか考えてみるのがベストかもしれませんね◎
ステップアップには◎
- もっと良いギターフレーズを弾きたい
- 作る曲が似てきてマンネリ・・・
- もっと楽曲を深く理解したい!
こうしたステップアップにこそ音楽理論がおすすめです!
「心地よい」とされる響きを知ることで、「次はこの音に移ればスムーズだな」「こんな効果を狙って作曲者はこのフレーズを作ったんだな」、など、自分の音楽に活かすことができます。
理論はゲームの攻略本にも似ているかもしれませんね。効率のよいプレイ方法を教えてくれる指南書。ダンジョンの全体マップを見ながら進むことで、自分のほしいアイテムを手に入れるルートもわかります。ちょっぴり専門用語は多いけど・・・
結論:理論は壁じゃなくて補助アイテム
「進めるところまで進んで、必要になったら必要な分だけ学ぶ」が最適解だと思います
。
音楽理論は絶対に学ばなければならないものでも、すみからすみまで学ぶべきものでもありません。
大きく立ちはだかる分厚い壁ではなく、あくまで音楽をもっと楽しむための補助アイテムとして、「もう少し音楽を知りたいな」と感じたら学ぶ。それくらいの気軽な気持ちでよいのではないでしょうか。
よく考えたら「必ず要る」というのも変な話ですよね。誰目線なんだ。個人個人感じ方も状況も違うのに。
超ザックリ全体像
ここからは音楽理論にはどんな分野があるの?という全体像をものすごくザックリご紹介したいと思います。
※音楽理論にはけっこうあいまいなところもあって、人によって解釈がわかれるものもあります。
今回はあくまでわたしの解釈に基づいたごくザックリとした分類である、ということにご注意ください。
1.楽典
楽譜の読み方・書き方や基本となる音の名前など、音楽理論の基礎・土台です。どんな理論を学びたいにしても、まずは楽典をおさえておくとスムーズです。
最初は聞き慣れない専門用語が多いこともあり、かなりの確率で挫折します。わたしも何度も心が折れました。
でもこの基本がとてもとても大事です!他の項目を学ぶ上で何度も出てきます。もし挫折しても何度も挑戦して、ぜひモノにしてほしい内容です。
2.ハーモニー(和音)
音の重なりについて説明するものです。
ギター弾き語りの伴奏のように、いくつかの音をいっぺんに鳴らすコードの理論がメインとなります。バンド演奏をしている人、曲作りをしている人は、このコードの理論を少しでも学んでおくと幅が広がります。
また、ハーモニーには別々のパートの音の重ね方の理論も含まれます。
たとえば、合唱にはアルトとソプラノのパートがありますよね。一人でジャーンと鳴らすコードと違い、アルト・ソプラノそれぞれのメロディが重ね合わさって合唱の厚みができますが、これもハーモニーです。オーケストラも様々な楽器が別々の旋律を奏でますが、この旋律の重ね方もハーモニーの理論に基づいてできているのです。
3.メロディー(旋律)
ハーモニーが音の重なりなら、メロディは音のつながりです。
どんなふうに音をつなげれが心地よいメロディが生まれるか・・・というようなことを探求するのがメロディー理論なのです。
メロディーに使われる音は、やみくもに選び出されたものではありません。「この高さでメロディーを作るなら、このセットの中から音を選んでね~」というように、それぞれ対応した音のセットが存在するのです。この音セットのことをスケールと呼びます。
メロディー理論では、このスケールに基づいてメロディーを深めます。
4.リズム(律動)
音が一定のタイミングで繰り返されることをリズムといいますね。
このリズムを数字の面から、そして感覚の面から掘り下げていくのがリズム理論です。
ポップスでは音楽理論といえばメロディーやコードの理論のイメージが先行していますが、ヒップホップが世界中で覇権を握っている今、リズムはぜひ学んでおくとよいと思います。
ジャズのシャッフルなどを見ると実感しますが、ジャンルの特徴となっているような独特なリズムもたくさんあり、掘り下げるとなかなかおもしろいです。
5.音響
「そもそも、音ってなんなの?」という音そのものに対する理解や、デジタルデバイスを通すと音はどんな風に変化するか?など、音の響きを深めるのが音響です。
DTMにて様々なパートを組み合わせるミックスという作業についての理屈や、はたまたクラシックにおいて、「音の周波数を計算してピアノの正しい音決めようぜ!」という音律の話もここに含まれます。
もう書いているだけで難しいですが笑、デジタルの時代に生きるミュージシャンなら、知っておいて損はない知識かもしれません。
6.曲技法
曲をジャンルやパートごとに分析する曲分析や、メロディーに対して飾り付けをして曲の雰囲気を決める編曲の技法を追求するのがこの曲技法です。
どんな演出が曲にどんなイメージをもたらしてくれるか、そのテクニックを掘り下げます。
これはハーモニーやメロディ、リズム理論の基本を学んだ後に取り掛かるのがおすすめです。
これがわかると、流れる曲を聞いても「ややっ、この曲にはこんなテクニックが使われているな」と、まるで手品の種明かしを見ているかのような気分になれます。
※わかれているけど、密接
こう書くとそれぞれまるで独立した分野のように思えますが、すべての分野は密接に関係しあっています。
ですのでここで書かれている分類はあくまで私が思う分け方であって、人によってはまた違った分類をするかもしれない・・・ということをご了承ください。
また、ここに書ききれなかった細かい分野も存在しますし、音楽ジャンルによって存在する特別ルールのような理論もたくさんあります。特にジャズ・クラシック。
何からやればいいんだ・・・という人へ
と頭を抱えている方がたくさんいるかもしれません。
また、「なにこれ、無限に終わらんやん」と絶望している方がいてもおかしくありません。ごめんな。
でも安心してください!
先ほど書いたように、音楽理論は何も隅から隅まで学ばなくてはならないわけではありません。
まずは楽典で音符について基本的な知識をつけて、その後は自分の好きなジャンルややりたいことに合わせて、項目を選ぶといいでしょう。
バンドでギターをやっている人なら、まずは楽典、次にハーモニー、アドリブもやってみたいので今度はメロディー・・・というように。ドラマーさんならリズムを優先して学べばいいですし、オーディオヲタクの方は音響をどんどん学ぶとためになりそう。
音楽理論を続けるコツ、苦手意識のある人へ
- ここまで読んで「むり・・・」となった人
- もくじだけで「むり・・・」となった人
- やってみたけど「むり・・・」となった人
- とにかく「むり・・・」な人
こんなみなさんに向けて、音楽理論と仲良くするための方法をいくつか載せておきます。
無理しないで
「やらなきゃ・・・」と気が重くなるくらいなら、勉強しなくても大丈夫!
いっそ音楽理論ナシでどこまで音楽を極められるか試してみましょう。
もしかしたら案外なくても大丈夫かもしれませんし、一旦理論ナシでやってみた経験があれば、やはり理論が必要・・・となった時も諦めがつくでしょう。笑
また、その経験があれば、音楽理論の中で何が必要かがはっきりして、必要以上に気が重くなることもなくなるはずです。
途中でやめてもOK
学んでいる途中でつまずいてしまい、どうしてもわからなくなったら、一旦やめてみるのも手。
また気が向いてから始めたほうが集中もできますし、「やめてもいい」とわかっていて始めれば気も楽だと思います。
難しい分野を一旦置いておいて、別の分野を勉強してみるのもおすすめです。別々の分野であっても同じ音楽の理論である以上かならずどこかで関係しています。かえって元の分野の理解も深まるかも。
教科書通りである必要ナシ
「学び」「勉強」と聞くとそれだけでウンザリしてしまう方も多いかもしれません。
ですが、机に向かって本を開くことだけが勉強ではありません。
ましてやテーマは音楽なのです。
こういったポップスやヒットソングに焦点を当てて理論を解説してくれる動画もたくさんあります。
こんな風に親しみを感じられるコンテンツからはじめてみたり、ふとした疑問をどんどん調べていく・・・という勉強のしかたもありますよ!
音楽の世界は無限大!
ここまで音楽理論の概要について解説してきましたが、最後に大切なお話をしなくてはなりません。
それは、音楽理論は完全ではないということ。
世界には数えきれないほどの音楽ジャンルがあります。そこにはポップスだけでなく、世界各地の民謡なども含まれています。
口承で伝わってきた音楽についてもすべて現在の音楽理論にまとめられているとは限りません。
また、ワールドミュージックでなくても、あえて理論のルールから外れた楽曲もあれば
、「もうなんだかわかんないけど、とにかく良い」というような理屈で説明できない演奏もあることでしょう。
音楽理論は、未だ完全ではありません。それはつまり、音楽の可能性は無限大であるということなのです。
だからこそ、肩に力を入れすぎず、そして自分の音楽に良い作用と広い視点をもたらしてくれることを大いに期待して、最高の補助アイテム・音楽理論を学んでみてほしいな、と思います。
アウトロ
わたしはもともと、音楽理論に強い苦手意識を持っていました。
しかし何度も挫折して何度も舞い戻った結果、今は理論をめちゃくちゃおもしろいと感じています。
今でも難しく感じる部分がたくさんありますし、お世辞にも極めたとは言い難いですが、新たに興味深いことを知れた時には思わず小さく叫んでしまうほどです。
「音楽理論」と聞くとつい顔をしかめてしまう皆さんの胸のつかえを、この記事が少しでも降ろせればいいな・・・と思います。
そして音楽を愛するすべての人が、昨日よりもさらに深く、音楽を楽しく感じることができますように!
お読みいただき、本当にありがとうございました!
また次の素晴らしい音楽でお会いしましょう。
Have a nice music!
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【参考動画・ページ】
【解説】音楽理論を1枚のマインドマップにまとめてみた - YouTube
↑どちらもすさまじく勉強になります