今日の1曲
春の雨が降る1日。
こんな日にはぜひこの1曲をおすすめしたい。
ドラマ「お見合い結婚」の主題歌でした。子供ながらに好きなドラマだった・・・。
亡くなった大切な人に想いを馳せる1曲で、シンプルながら曲・詞ともにていねいに作られています。
大きすぎる感情を表現しきるには
曲でいえば間奏の2段階の転調はこの素朴な曲のいいアクセントになっています。
「大切な人を喪う」というテーマってすごく難しいですよね。おおげさすぎると嘘くさいし、シンプルすぎると伝わらない。悲しみとして絶対的すぎて、表現が難しいのです・・・。
そんな中でこの曲はその塩梅が絶妙。歌でなく間奏の部分を2段階の転調、というのがこの曲の飾りとして最適解なんじゃないか・・・と思わせてくれます。
また、使っている音色はたくさんあるんでしょうが、テンポがゆっくりで音の動きもゆるやかなので、ゆとりも感じます。そのゆとりが松たか子さんの声と、その素直な歌を際立たせてもいる。
あとピアノの細かく高い16分音符が舞い落ちる桜吹雪のように感じられる部分も、和を感じる音階(=ヨナ抜き音階)もフィットしてて好きだし・・・。聞けば聞くほど良さがわかります!
シンプルで分析しやすいのも好きなポイント。笑
たった3文字で全然違う
詞でいうと、「私を一人にして」だった部分が次では「私を一人残して」に代わっていたりする部分が言葉好きとしてはたまりません。笑
「残して」にするとがぜん重たく響きますね。前半をあえて柔らかく濁したのか、それとも後半で少し辛くてうらめしい気持ちが出たということなのか、わかりませんが、いろんなお心の動きが推し測れる良い歌詞です。
ピックアップ!
この短い詞のすべてが好きですが、特に好きな部分を言うなら
安らかな寝顔に
そっと触れたくちびるにこぼれてゆく
涙が桜の雨になる 夢が今虹をかけてく
このBメロとサビを架ける「桜の雨」が鳥肌もの!
涙が桜の雨になる・・・という発想も美しすぎます。
まぶたに浮かぶ情景がきれいすぎて、悲しくも強烈に惹かれてしまう一節です。