
ずっと気になっていたアルバム、『儚くも美しき12の変奏』を聞きました!
本当に同じアーティストのアルバムなの???というくらい幅広い音楽性でメチャ面白かったです。
ここでは全曲をレビューしていきます!
ぜひお気に入りの曲を見つけてみてください。
すでにお聞きの方は、ご自身のお好きな箇所などぜひコメントしてくださいね◎
『儚くも美しき12の変奏』
2026年2月11日リリース。
くるりにとって15作目のオリジナルアルバムであり、前回からは2年4か月振りの作品です。
バンドのアルバムなのにタイトルは『12の変奏』となんだかクラシックアルバムのようで、どんな作品なのか気になっていました。
あちこちのレビューで、とにかく「多彩な音楽の幅」というのが強調されていました。
でもアルバムってある程度そういうものなのでは・・・?と思いながら聞き始めたんですが、ここまでとは笑
ちょっと笑ってしまうくらいの幅広さだったんですが、この一枚を通じて私は「音楽を楽しむとは?」ということをちょっと考えさせられました。
詳しくはまとめに書こうと思います。
ひとまず全曲レビューを読んでみてくれ!
全曲レビュー
たまにおもうこと
酔っぱらうとおれは前向きになれる
何故ならおれは天才だからだ
もう、めっちゃ良い。
この親近感が湧きすぎる歌詞からして、そういう「ちょっとダメだけどありふれた男の愛すべき生活」みたいな歌詞・歌が展開されるかと思いきや、そうじゃないんですよねー。
冒頭のクラシックのようなピアノ旋律、ポエトリーリーディングが自然と歌になっていくさま、突然キラキラしたエレクトロサウンドやエスニックに展開していくようす・・・。
親しみがあるような、異世界のような。そんな不思議な、けれど居心地はそう悪くないというような気分になります。
まさにこのアルバムの入り口にふさわしい。
Regulus
こ~~~れ良い曲ですよね。爽やか。
「レグルス」はしし座で一番明るい星。
曲も、まるで流れ星が空にすっと線を描くような疾走感と爽やかさを持っています。
ユニゾンしている女性ボーカルはHomecomingsの畳野さんだそうですが、岸田さんの声と相性良すぎるだろ・・・。
金星
ビリーバンバンさんっぽくないですか?いいちこのCMで流れていそう。レトロな雰囲気を感じます。
ひとつ前のRegulusに2000年代のロックバンドを感じるのと対照的に、こちらにはもっと年代をさかのぼったフォークな雰囲気があります。
サビに入ると特にそれを感じる。
この空間にフワーと行き渡るようなサウンド感とゆったりとしたマイナー調がそう思わせるのかも・・・。
瀬戸の内
このアルバム、2020年代のくるりのアルバムだったわ・・・と思い出させてくれる1曲。
ものすごく現代を感じる!ということではないんですが、なんかこの余白を楽しませる試みにバンドとしての新しさと、そして余裕を感じますよね・・・。
後ろの金管はソプラノサックスらしいんですが、静かな海面にサックスの音で小さく波が立つような・・・絵が想像できる美しさです。
もうなんかこういう美しい曲だけ聞いていたい時ってホントある。
La Palummella
はい来た。
このALのビックリ曲①。
「何?!」ってなりました。
これくるりのALじゃなかった?間違えて押した???。
これはナポリ民謡をベースに、岸田さんが尊敬しているイタリア人音楽家Daniel Sepeさんと作ったものだそうです。
でも日本人的にはこのマーチみたいなリズムと迫力にはどうしても戦後の歌謡曲を連想してしまうんですよね・・・「赤い林檎」みたいな・・・。
昭和歌謡曲ってナポリ民謡に影響受けてる可能性ある?あ~気になってきた。今度調べよう。
C'est la vie
はい。ビックリ曲②です。
なんかの間違いで違うアルバム再生した?レベルで戸惑います。
ド頭のメタルイントロとデスボイスにも驚くんですが、サビ?らへんの裏で「アーイーヤッ」っていうコーラスが入ってたり、シタールがチラ見えしたり、すんごいカオスです。
2分くらいの短い曲なんですが、次の曲とのギャップとあいまって、なんかちょっとクセになる曲です。何回も聞いていたら愛着湧いてきた。
ちなみに途中に入ってくる「まくとぅそーけー」っていうのは沖縄の言葉で「正しい行いをしていれば(大丈夫)」みたいな意味らしいです。
oh my baby
「C' est la vie」の2分をすっと通り過ぎると急にこの「oh my baby」のピアノイントロが始まります。
ここ、温度差スゴすぎて毎回止めてしまう。え?今の夢・・・?ってなる。
あまりにメロウで、それでいて儚いのが「oh my baby」です。
このリバーブが効いてボーカルが空間に漂うかんじ・・・。
これ良い、儚い。夢のように、うつろに消えていってしまいそう。
「ベイベー」って言葉がたまらなくカッコよく甘く聞こえるのって、邦楽ロックバンドだけじゃないですか?特権だと思う。
個人的にすんごい好き。
「C' est la vie」との大きな違いも、このメロウさを引き立てている気がする。
はたらくだれかのように
これもめっちゃ良い曲なんですよね~・・・。
独特な空気感を持ちつつ、歌詞もしみじみする良さがあります。
この曲についてはnoteでも書いてみました。ぜひぜひ。
アルバム収録の他の曲と比べると、やはりこの「はたらく~」は録音の仕方がモダンな気がします。タイトに聞こえるというか・・・。
サウンド全体もかわいいエレクトロサウンドに彩られて、新しいですよね。くるりの雰囲気とすごくよく合ってる!
押し花と夢
このリズムといい岸田さんの切々とした歌い方といい、なんだか泣きたくなっちゃいますよね。
「押し花と夢」には、胸が苦しくなってしまうようなノスタルジーを感じます。
優しい曲調でありながら秘めている思いはとても切なく熱くて、温かい音にエモーショナルが揺さぶられるような・・・。そんな印象を受けます。
これも大好きだけど、こっちは気持ちが揺さぶられちゃうからあんまり聞けない笑
セコイア
童謡のように優しく温かい「セコイア」。
ひとつ前の「押し花と夢」から畳みかけてきます。やめてくれ・・・
3拍子といいかわいいメロディーといい弦楽器といい、子供番組で流れても遜色ないような曲。
くるりのこの、あくまで日常の延長線上にあり続けるというスタンス、これって意外に難しいことなのかも。
どういう曲調でもここからブレないのって、バンドの大きな特徴なのかもしれないな~。すごく好きです。
3323
「3323」は「La Palummella」以降の大冒険から一旦落ち着くような、何気なさが魅力です。
電車にゆられるように淡々と進みますが、こういうシンプルな展開だからこそ転調がすごく良い仕事をしています。
D→Eの転調だと思うんですが、風が冷たくなったような、景色がひとつ新しくなるような新鮮さがありますね。キーの印象っておもしろい。
あとこの大滝詠一さんの曲のような高速のカスタネット、これを聞くとなぜか旅感を感じますね・・・。ラテンっぽいからかな?。
ワンダリング
「ワンダリング」はこのアルバムのエンディングにふさわしい1曲になっています。
ヒップホップっぽい要素もありつつ、メロディーはやはりめちゃくちゃくるり。
(でも全編ゆるめのラップっぽい曲もくるりには合いそうですよね。)
そしてヒップホップだけでなく、ケルトっぽい弦楽器に歪むギター、エレクトロサウンド、ビブラスラップもいればマーチの大太鼓みたいなのが現れたり・・・。
まさにいろんな音楽が相互にさまよう不思議な曲です。
歌詞。
全編大変美しいのですが、
これはフィクションなんかじゃない
このラストのフレーズは特に突き刺さりました。
くるりはこの作品群を通じてたくさんの音楽的挑戦をした。
私達リスナーはこの素敵なアルバムに出会えた。
そうして自分だけの経験、そして感動を手に入れたこの一瞬は、フィクションなんかじゃなく現実なんだ。
それってすごく夢がありませんか・・・?!
いろいろなことが起きてガックリくることもあるけど、こういう瞬間は実在する。なんて良い世界に生きているんだろう。
まとめ
戸惑うレベルの音楽性の広さでした。笑
私はくるりを聞き始めたんじゃなかったか・・・?「ばらの花」みたいな、想像していたくるり感はどこへ・・・?と。
でもそう感じた時、「似たような音楽に安寧を求める自分」に気がついたんです。
それもけして間違いじゃない。
間違いじゃないけど、この『儚くも美しき12の変奏』でくるりが行ったこと、こういうアルバムに向かったエネルギーは、少なくとも私のそれとはまったく別ベクトルのものだったんだと思います。
自分の知らないものを追い求める気持ち。
知らないものを知りたいという好奇心。
どんどん新しい音楽の要素を取り入れようという、いつまで経っても衰えることのない、くるりの新鮮なエネルギーにふれた気がしました。
そして実際、このアルバムはとても刺激的で楽しいものだった。
この楽しさにふれてよかったと思ったし、これからも続くくるりの挑戦がとても楽しみです。
あと、アルバム通して聞くのってやっぱり良いわ。面白い。