お正月に必ず聞く雅楽の曲。
番組のBGMとして聞いたことがある・・・
だけではとてももったいない音楽なんです!
今回はそんな日本が誇れる伝統音楽、雅楽についてまとめてみました!
想像もできない深い歴史と味わいを持ち、どこかぱりっとした気持にもさせてくれる雅楽が、あなたもきっと好きになるはず。
概要~読み方からていねいに~
雅楽。ガガクと読みます。
笙(しょう)や龍笛(りゅうてき)、箏、太鼓などを合わせて演奏する管弦楽です。この曲にあわせた舞や歌も雅楽と呼ばれます。
彼が前身である音楽を導入した612年から雅楽は存在し、長い歴史の中でほとんど形を変えることなく、現在まで継承されているのです。
「世界」最古のオーケストラ
西洋でオーケストラやアンサンブルが最初に演奏されたのは1600年代。
その後18世紀頃、バッハなど著名な音楽家たちが西洋音楽の礎を築きます。
一方、雅楽は5世紀の前後にはすでに日本に入ってきており、1000年までには現在のような日本独自の形に完成されています。
つまり、クラシックがオーケストラを完成させる700年ほど前に、すでに日本には雅楽というオーケストラの形が確立されていたのです!
雅楽というのは、単に日本の伝統音楽というだけでなく、世界から見てももっとも古くに確立されたオーケストラなわけです。誇らしい・・・。
日本生まれじゃないんですか?!
前項目で気になった方は鋭い。
そう、雅楽は純日本産ではないのです!
えー!!
雅楽の前身となる音楽は、5世紀前後、中国や朝鮮半島から、仏教とともに伝わってきました。
これに昔から日本に伝わる舞を付け加えたり、日本の伝統楽器を使用したりして、独自の形として完成させたのが雅楽なのです。
日本の中だけで生まれた音楽ではありませんが、日本と他国との交流の中で生まれ、そして日本人が育んできた音楽であることは間違いありません。
「和」の心を感じるのも納得です。
指揮者ナシ!
複数の楽器を合わせて演奏する雅楽ですが、指揮者がいるのを見たことがありませんよね?そう、雅楽には指揮者がいません。
ではどう合わせるのか。
これは演奏者の呼吸や間合いで決まります。
演奏者は自身の演奏に集中するだけでなく、前列の演奏者の手元を見たり、他の楽器の音を聞いたり、それぞれの楽器の特徴をとらえることによって、音を合わせるのです。
つまり雅楽を演奏するには、自分の演奏を極めるだけでなく、他の楽器にも精通し、その場で作り上げられる空気を常に感じ続けなければなりません。ヒエ・・・。
こうした難しさから、雅楽は「アンサンブルの極致」とも言われています。もうなんか全部スゴすぎる。(アホみたいな感想)
「レイヤー」
伴奏がついて、メロディーがあって・・・という普段よく聞く音楽の形を、ホモフォニーといいます。
伴奏とメロディーのハーモニーだよね、という意味で、他にもメロディーのみのモノフォニーや、メロディーとメロディーの組み合わせのポリフォニーなど、音楽にはいろいろあるわけです。
雅楽はホモフォニーよりさらに層の厚いヘテロフォニーだとされています。
リズム担当、メロディー担当、和声担当(といってもアルペジオのように単音で弾くようですが)といった層だけでなく、メロディーひとつとっても、同じリズムで楽器ごとに少しずつアレンジされています。
また、前項目でも説明したとおり、合わせるタイミングは奏者次第。ごくわずかなズレによって、同じ旋律でも別々の層として聞こえることも。
十二単のようにあらゆる音の層が折り重なり、積み重なり、その立体的な厚みまでもを楽しむ音楽なのです。
これを書いていたら、お寺にたまにある「鳴き龍」を思い出しました。下で拍手を打つと、天井の龍が鳴くという・・・。あれも空間の響きを利用したものですよね。
すごく良い・・・広いところで聞きたい。
不協和すら愛して
西洋音楽では「スケール」の理論があり、「調和しない音は重ねるとにごって聞こえるから使わんといて」というようなルールになっています。
雅楽ではわざとこの「調和しない音」を使用している箇所もあり、不協和音のように聞こえる部分もあります。
これは「不協和を生み出すことによって協和を引き立たせる」という効果をねらったものであり、「不協和という絶妙な重なりを愛する」という意味合いもあるそう。
また、雅楽は単なる音楽ジャンルでなく、当時の思想や哲学とも密接に結びついたひとつの文化であったため、「あるがまま重なり合う=自然との調和」というような意味もこめられていたかもしれません。
質素で慎ましいものの中に奥深さや情緒を見出し慈しむ心(「侘び寂び」)を持つ日本人らしい考え方ですよね・・・!ただただ、美しい。
聞いておきたい雅楽の曲
最後はおすすめの雅楽楽曲をご紹介します!
お正月に聞く「越天楽」
最も有名な雅楽曲かも。
「越天楽(えてんらく)」というタイトルです。
特別「お正月」というような意味合いを持つ曲ではないのですが、「キャッチーだよね」ということで長らくお正月に演奏されているそう。
雅楽といえばこれ!と言えるナンバー。
七夕の切ない歌「二星」
雅楽には歌もあります。
なかでもこちらはおすすめ!
「二星(じせい)」です。
七夕の夜にようやく会えて、しかしまた別れてゆく、うれしくも悲しい彦星と織姫の心を歌っています。
朗々とした歌声も素敵です・・・。うっとり。
源氏物語にも登場「納曾利」
舞もぜひ見てほしいこちら。
「納曾利(なそり)」です。
「双竜の舞」とも呼ばれていて、雌雄2匹の龍がたわむれる様子を表したもの。
龍の面をして舞いますが、目が動くようになっているなど、とても凝ったつくりです。
「落蹲(らくそん)」という名で源氏物語に登場します。時を越えて、紫式部が見ていたものを変わらぬ形でみられるってすごい・・・。
たわむれでも、龍であるせいか、勇ましくカッコイイですよね!なにか気迫をも感じる演目です。個人的には動画の16:39あたりからガラリと変わる展開も好き。
まとめ
調べれば調べるほど奥が深く、ここまで書いておいてなんですが、とても記事だけでは紹介しきれません。笑
書けるのはさわりのさわりの(略)さわりと感想くらい・・・。それでもすごく感銘を受けましたし、誇らしい気持ちになりました。
他にも音楽理論的にとてつもなく高度であったり、思想や哲学、自然、生きていく上での考え方と密接に関係している部分などはとても興味深く、もっともっと深めてみたくなりました。
古来より伝わる美しい音にふれて、新しい一年をより充実させていきたいですね!
お読みいただき、ありがとうございました!
次の素晴らしい音楽でお会いしましょう。
Have a nice music and year!