何もかも間違えてるイントロ
こんにちは!真横です。
ふとドラマで流れていたクラシックの曲が聞きたくなりました。ショパンの「別れの曲」だとすっかり思い込んでいたのですが、よくよく調べてみたらベートーベンの「悲愴」だったのです。何もかも違った。
ベートーベンは尊敬しているミュージシャンさんが好きとのことでずっと深掘りしてみたかったので、この機会に調べてみることにしました!
初心者のわたしにはクラシックの用語自体が難しかったので、クラシック用語字引きのような記事も合わせて書いてみました。 クラシックはさっぱりだけど聞いてみたい!という方はぜひご活用ください◎
もくじ
どんな人?
「ベートーベン」じゃない?!
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーベンは、ドイツの作曲家であり、ピアニストです。1770年に生まれ、幼い頃から音楽を学び、1827年に57歳で亡くなるまで音楽を生み出し続けました。220年近く前に活躍していたことになりますね。
形式や和声(3つ以上の音が重なったもの)に注目した古典派音楽の大御所であり、また、その後栄えたロマン派音楽の先駆けともなりました。その時代を席巻しただけでなく、後世の音楽家たちにも大きな影響を与えた人です。
日本では「ベートーベン」という表記が一般的ですが、ドイツ語の正しい発音から言うと「ベートホーフェン」だそう。ピンとこない。
作曲家、でも元は・・・
作曲家としてのイメージが強いベートーベンですが、元々は腕の良いピアニストでした。しかし20代後半から持病の難聴が悪化していき、28歳にはほとんど聞こえないほどに。
一時は遺書を書くほど思い詰めますが、音楽に対する情熱に背中を押され、完全に作曲家に転向します。そして耳が聞こえないながらも名曲を世に生み出していきます。あの「第九」を制作したのも耳が聞こえなくなった後というのだから驚きです・・・。
苦難の連続
難聴は大きな苦難だったはずですが、苦しみはそれだけではありません。幼い頃、歌手であった父から受けた虐待にも近しいスパルタ音楽教育(真夜中に叩き起こしてピアノを弾かせるなど)に始まり、その父のアルコール中毒と歪な関係、弟たちの世話、甥とのうまくいかない関係・・・。ベートーベン自身も数々の神経性症状に悩まされ、心も体もボロボロ。しかしどんな時でもベートーベンは音楽に携わり続けます。これはもう生き様そのものだったのかもしれませんね・・・。
ベートーベンはかなりの神経質で、潔癖症でもあり、その性格からか生涯に60回以上引越しを行ったというエピソードもあります。6回でも多いよ。
ここがすごいよベートーベン
ただ名作を生みだしたというだけでなく、
✅歌を初めて交響曲に使用
✅ソナタの形式を拡大・逸脱・区切りをあいまい化して、より大規模で自由なものへ
✅宮廷音楽家ではなく貴族たちと対等な契約を結んだことで、フリーランスミュージシャンの先駆けに!
✅メトロノームを初めて活用
などなどあらゆる形で音楽世界に貢献しているベートーベン。
いつの時代でもそうですが、歴史に名を残す偉人というのは発想が自由ですよね。だからこそそれまでの常識を打ち破り、よりよいものを世に放つことができるのでしょう・・・。
有名な曲3+1選
3選で止めておこうと思ったのですが、ど~しても好きな曲を盛り込みたかったので+1しました。笑
「運命」
ベートーベンといえばこの曲ですね!
正式名称は交響曲第5番 ハ短調 作品67。「オーケストラ用の大規模な曲で、ドを軸に作られていて、ベートーベンの全曲ひっくるめて67番目に作られたよ~」というような意味合いでした。「運命」というのは通称であって、これはベートーベンの秘書が「手記にこの曲について『運命はこのように扉を叩く』と書いてあった」と証言したことからついた名のようですが、あまり信ぴょう性はない模様。
暗く重たい曲調から一転、明るく朗らかに展開していくドラマチックな作りは、後世のロマン派の音楽家たちに大きな影響を与えました。
本当にドラマチックな1曲!冒頭の「ジャジャジャジャーン」はもちろん有名ですが、その一節だけでなく、後半に進むにつれ物語が深まっていくようです。
インパクトだけでなく、激しい中にも繊細な作り込みがなされているのを感じます。最後の1秒まで楽しい!
またこちらは第1楽章ですが、第2楽章を聞いてみるとギャップに驚きます。激情ばかりでなく、柔らかく温かい流れもまた人生、「運命」・・・といろいろ想像させてくれる曲群です。
「第九」
年末年始にオーケストラで必ず演奏される曲ですね!お正月はバラエティでもしょっちゅうこの曲を聞いている気がします。
正式名は交響曲第9番 ニ短調 作品125。ベートーベンが最後に作った交響曲です。お馴染みの合唱の他独唱もあり、「第九」「合唱付き」という通称がついています。
歌詞に使われているのはドイツの詩人・シラーの「歓喜に寄す」という詞です。ベートーベンは1792年、彼が交響曲を作り始める前からシラーの書を愛読し、この詩に感銘を受けていました。この曲が長きにわたりあたためられたアイディアによって実を結んだ作品であることがわかりますね・・・。
第九は合唱部分の印象が強すぎて、その部分からしか聞いたことがなくて、「唐突に歌うな~、唐突に歓んでるな~」という違和感からあまり好きではなかったのですが、ちゃんと聞いてみれば、合唱部分に至るまでの盛り上がりがていねいに用意されていたことに驚きました。
歌唱メロディがわかっていると、徐々にあのメロディが聞こえてくるとかなりテンションがあがります。笑 そして独唱の迫力も半端じゃない・・・!
「月光」
ここからはオーケストラでなくピアノの曲をご紹介します!
この曲はコナンの「ピアノソナタ月光事件」で有名なやつですね笑
「月光」は第3楽章もメジャーですが、コナンのおかげなのかこの第1楽章の方が耳馴染みのある方も多いようです。
正式なタイトルはピアノソナタ第14番 嬰ハ短調 作品27-2 『幻想曲
風ソナタ』。本人がつけたのは『幻想曲風ソナタ』の方で、「月光」という通称は音楽評論家がこれを聞いた際のコメントから来ているそう。第8番の「悲愴」(後述)、第23番の「熱情」と並んで3大ピアノソナタと呼ばれています。
物悲しいながらも美しい旋律を持つ第1楽章もすごく良いんですが、穏やかでゆったりとした表情を見せる第2楽章、一転、まるで階段を転がり落ちるような激しさを持つ第3楽章も聞く者を惹きつけます!交響曲を聞いていても思いましたが、「激流」という言葉がとてもしっくりくる作曲家ですね。
「悲愴」
最後にご紹介したいのはこのピアノソナタ第8番 ハ短調 作品13 『悲愴大ソナタ』。ベートーベンが自身で曲に標題をつけるのはとても珍しいことです。また、自身でつけた標題がそのまま通称として現代まで伝わっているのも、ベートーベンのky九の中では珍しいですね・・・。この曲は自身が作ってきたピアノソナタの中で初めて高い評価を獲得した曲で、この曲によってベートーベンはピアニストとしてだけでなく、作曲家としての名も世に広く知らしめることとなりました。Aqua Timezにとっての「決意の朝に」、スピッツにとっての「空も飛べるはず」みたいなものですね。(好きなバンドで例える)
イントロでお話した”ふと聞きたくなった曲”というのは、この曲の第2楽章のことです。この・・・!シンプルながら耳と心に残り、悲しくも温かいメロディ・・・!!!数百年の時をこえてベートーベンが愛されていることもうなずけます。ベートーベンは音数の多さや展開の激しさのイメージが強いですし、そこが大きな魅力だと思いますが、この曲にはすべての激しさを包み込む壮大さを感じます。
第1楽章は重たい和音もありますし第3楽章は逆に細かい鍵盤さばきから漂う緊張感なんかもありますが、このピアノソナタは全体的に繊細さを感じさせる作りだなと思いました。そしてそれぞれ表現は違えども、悲しい。「辛さ」とはまた違う、正しく「悲愴」と呼べるものを表そうとしているのではないか、と感じました。個人的にはベートーベンの曲の中で1番好きです。むちゃくちゃ好き。
アウトロ
いかがでしたでしょうか!
今までなんとなく難しそう・・・とクラシックそのものにあまりふれないまま来てしまいましたが、作曲家の人生にも焦点をあてて向き合ってみると、時代を越えても共感できるところ、尊敬できるところがあり、クラシックをぐんと近く感じられるようになった気がします。
他の曲も聞いてみたいですし、他の作曲家も深掘りしてみたくなりました・・・!人間の音楽への探求心は何百年経っても変わりませんね!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!
また次の素敵な音楽でお会いしましょう♪ Have a nice music!
真横
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【今回ご紹介したアルバム】
↑これは特に良いアルバムでした・・・
【おすすめ商品】
「悲愴」を弾けるようになりたい・・・
アナログで聞いたらさらに良さそう
【参考ページ】
ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン - Wikipedia
ピアノソナタ第14番 (ベートーヴェン) - Wikipedia
ピアノソナタ第8番 (ベートーヴェン) - Wikipedia
ベートーヴェンのお父さんは毒親だった?! 作曲家の親子関係|音楽っていいなぁ、を毎日に。| Webマガジン「ONTOMO」